コーディングエージェントの死角:「画像は見られません」
この一年で、Cursor、Claude Code、Codex といった AI コーディング環境は、開発者のワークフローを大きく変えました。
それでも、エンジニアはよくこの厄介な壁にぶつかります。
微妙な CSS の表示バグや、デザインのモックアップのスクリーンショットをコーディングのセッションに貼り付けると、次のような残念な返答が返ってきます。
「このターミナル環境では画像を見ることができません。テキストで直接ご提供ください。」
言語モデルは優れた推論力を持っていますが、分離された開発者向けの CLI 環境の中では、視覚的には見えないままなのです。
解決策:Model Context Protocol(MCP)による画像認識の標準化
統合の壁を越えるために、Anthropic は Model Context Protocol(MCP) を発表しました。AI の機能のための、USB-C のような汎用プロトコルです。
私たちは、開発者のエージェント向けに専用に作られた、オープンソースの MCP 画像認識サービス Shadow Vision を開発しました。
サーバーの定義を 1 つ追加するだけで、コーディングエージェントは 6 つの構造化された画像認識ツールを使えるようになります。
vision_ocr:ターミナルや UI のキャプチャから、高精度でテキストと表形式のデータを抽出します。vision_inspect:CSS の表示の乱れを見つけ、グラフを読み取るなど、視覚的な診断を行います。vision_annotate:開発者が書き込んだ注釈(赤い枠、矢印、ハイライト)を認識します。vision_layout:デザインを階層的なレイアウトツリーと余白のトークンに分解します。vision_reconstruct:主力の機能です。UI のキャプチャを、クリーンな React、HTML、Tailwind のコードの下書きに直接再構築します。vision_compare:反復ごとの見た目を、ピクセル単位で視覚的に比較して回帰を検査します。
ローカルファーストのプライバシー:差し替え可能なバックエンドと、オフラインの Ollama
企業のチームは、社外秘のスクリーンショットが第三者の API に漏れる危険を冒すことはできません。
Shadow Vision は、モジュール化された差し替え可能なバックエンドを実装しています。
- ローカルファーストのプライバシー:ローカルの Ollama のインスタンス(例:Qwen2-VL、LLaVA)をネイティブに統括します。画像の推論は、外部へのリクエストなしに、100% 社内のマシン内にとどまります。
- クラウドの精度:複雑な推論は、Anthropic Claude 3.5 Sonnet や Google Gemini のマルチモーダル API に、簡単に振り分けられます。
- OpenAI 互換:LM Studio、vLLM、独自の企業向けゲートウェイと相互に連携できます。
設定(Claude Desktop / Cursor)
{
"mcpServers": {
"shadow-vision": {
"command": "uv",
"args": ["run", "shadow-vision"],
"env": {
"VISION_BACKEND": "ollama",
"OLLAMA_MODEL": "qwen2-vl:7b"
}
}
}
}AI エージェントに画面を認識する能力を与えると、ターミナルでのやり取りが、本当の意味でのマルチモーダルな協働へと広がります。